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2009年3月27日 (金)

骨髄移植 3.幹細胞採取・幹細胞輸注・輸血・各種予防

3-1.幹細胞採取
1)骨髄採取
全身麻酔で腸骨から採取する。
採取メンバーはには麻酔医と採取者数名、骨髄液処理担当など。
詳細手順は、骨髄採取マニュアルに詳しく記載されている。
www.the-convention.co.jp/jsbt05/cyber/theme/detail/JMDP-3.pdf

ドナーは予め輸血用に自己採血を行う。
採取にはディスポーザブル穿刺針をもちいる。
一回の皮膚穿刺で数回深さを変えて、吸引(3~5ml/回)を行う。
穿刺回数は数十回。骨髄採取量は1000ml程度。
採取後、圧迫止血を行う。

骨髄採取中の事故は、全身麻酔による。1.5万件に一件の割合で死亡事故が報告されている。

ドナーは採取後3日程度入院する。後遺症としては、採取部(腰部)の痛みがある。痛みの程度は、個人差がある。

2)末梢血幹細胞採取
①ドナー
末梢血中の幹細胞を増加させるために、顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor : G-CSF )を5日間投与する。投与後4日もしくは5日目より、採取を開始する。
採取には通常、両腕が用いられる。一方の腕から採取が行われ、幹細胞を装置で連続分離後、再びドナーのもう一方の腕に返血される。
目標採取料は、CD34陽性細胞個数をレシピエント体重1kg当たり2~3×10^6程度とする。

なお目下の所、末梢血採取法は骨髄バンクでは採用されていない。

②自家移植
化学療法の寛解期に採取を行う。末梢血中の幹細胞は、治療のための化学療法によって増加するので、これにG-CSFを併用して、①と同じ方法で採取する。採取した幹細胞は、冷凍保存しておく。

3-2.幹細胞輸注
1)非凍結幹細胞の場合
輸注時の発熱を防止するためにヒドロコルチゾンが前投与される。
赤血球適合の場合、液量は1000ml程度となる。400ml/時以下の速度で、輸注を行う。
赤血球主不適合の場合は、予め赤血球除去処理が施され、輸注液量は少量となる。赤血球溶血防止のため、ハプトグロビンが前投与される場合もある。

2)凍結幹細胞の場合
冷凍保存バックを37℃高温槽で急速解凍する。解凍後は、凍結防止剤による幹細胞損傷を避けるため、直ちに輸注を実施する。
解凍後の輸注方法は、1)に同じ。

3-3.各種予防処置
1)急性GVHD予防
【GVHDとは】
graft versus host disease : 和名 移植片対宿主病

移植片に含まれるドナーリンパ球が、患者さんの体を「よそ者」とみなして攻撃する免疫反応のことです。
移植後早期に発症するGVHDを急性GVHD、移植後100日以降に発症するGVHDを慢性GVHDと呼びます。

急性GVHDでは、皮膚、消化管、肝臓の3臓器を攻撃します。重篤な場合は、生命に関わりますので、予め予防が必要となります。

【急性GVHD発症予測】
同種移植の場合について、説明します。

結論から言いますと、正確な予測は極めて困難です。しかしながら、ある程度の傾向はありますので、以下に記します。

①HLAの適合性
ドナーとのHLA適合性が悪いと発症しやすくなります。HLAとは白血球遺伝子情報のことですので、HLAの型が異なると、「よそ者」と見なされることになります。
ただHLAについては、すべてが解析できているわけではありません。学術的には、マイナー組織適合性抗原とよばれる遺伝子情報を担う部分があるのですが、この部分の解析は現在の処困難です。HLAの(メジャー)組織適合性抗原が一致していても、このマイナー組織適合性抗原の不一致で、急性GVHDが発症しやすくなると考えられています。

②性別
女性ドナーから男性レシピエントの場合、急性GVHD発症リスクが高くなります。

③年齢
年齢が高いほど、急性GVHD発症リスクが高くなります。

④移植方法
末梢血幹細胞移植 > 骨髄移植 > 臍帯血移植
の順に急性GVHD発症リスクが低くなります。

⑤人種
日本人は白人に比べて急性GVHD発症割合が低い。

以上のような傾向がありますが、正確な予測は①に述べた理由により、困難であるのが現状です。
従いまして、同種骨髄移植の場合は、程度の差はあれ、いずれにおいても予防措置が採られます。

【免疫抑制剤】
予防には免疫抑制剤が使われます。
代表的な免疫抑制剤は以下の三つです。

①シクロスポリン(CYA):商品名;ネオラール、サンデュミン:形状;カプセル、液体
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se39/se3999004.html

②メトトレキサート(MTX):商品名;メソトレキセート:形状;液体
http://www.e-pharma.jp/dirbook/contents/data/prt/4222400A1028.html

③タクロリムス水和物(FK506);商品名;プログラフ:形状;カプセル、顆粒、液体
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se39/se3999014.html

通常の使用方法は、
CYA(継続投与:移植直前から投与)+ MTX(移植後1、3、6、11日目に投与)

CYAは液体点滴静注とカプセル経口摂取がある。移植当初、点滴静注する場合は、一般的投与量は、3mg/(kg・日)、カプセル経口する場合は、吸収効率の関係で、点滴静注の2~3倍投与する。

なお厳密には、CYAの投与量は、血中濃度で管理する。その範囲は、おおよそ200ng/mL~550ng/mL。白血病のタイプや進行状況、ドナーとのHLA適合性によって、この範囲内で血中濃度は加減される。
拒絶反応を抑える場合(症状が初期の場合など)は、高めに、また拒絶反応抑制を控えめにする場合(症状が進行しており、GVLを期待する場合)は、低めに設定する。

GVHDが無い場合は、順次減量してゆく。減量の仕方は、GVHDの有無、病状の進行度合い、ドナーとのHLA適合性等に依存する。
病状が初期の場合は、だいたい6ヶ月で投薬を終了する。

MTXは移植後1、3、6、11日目に投与される。投与量は、ドナーとのHLA適合度によって調整する。HLA適合性が高い場合は、11日目を省略する場合もある。
1回(1日)の投与量は、7~15mg/㎡(体表面積)。

タクロリムス水和物はCYA(シクロスポリン)の代わりに用いられる。免疫抑制作用は、タクロリムスより強い。重傷GVHDの発症を防止することを期待して使用されるが、GVL効果減少のため、再発頻度が高まる懸念もされている。

2)感染予防
前処置~正着までは、白血球が作られず、極めて感染しやすい状態です。
また免疫抑制剤の使用は、その名の通り免疫を抑制しますので、免疫抑制剤の投与期間中は、引き続き様々な感染症に罹る可能性が大です。

感染には、細菌、真菌、ウィルスなどによる感染があります。
また移植後時期によって好発する感染症が異なります。

代表的な感染症について以下に記します。

①移植後早期(前処置~生着)
・細菌:緑膿菌、ブドウ球菌
・真菌:カンジダ、アスペルギルス
・ウィルス:単純ヘルペス

②移植後中期(生着~100日)
・真菌:カリニ肺炎
・ウィルス:サイトメガロウィルス(CMV)、アデノウィルス、帯状疱疹

③移植後後期(100日以降~)
・各種細菌、真菌等
・ウィルス:帯状疱疹

【感染予防方法】
①感染源の遮断
・無菌室(移植直前~造血機能安定まで)、アイソレーター設置
・食べ物(加熱処理、滅菌処理された食品)
・患者(手洗い、うがい、除菌綿の使用、シャワー、歯磨き)
・看護従事者(マスク、手洗い、清掃、IVH管理)
・その他(植物の持ち込み禁止、面会制限、病棟内への入室制限)

②予防薬の投与
代表的な例を以下に示します。

・ニューキノロン系抗生物質・・・細菌感染対策
・フルコナゾール・・・真菌感染対策
・ST合剤またはペンタミジン・・・カリニ肺炎予防
・アシクロビル・・・単純ヘルペス
・G-CSF・・・正着促進、白血球増加による感染症の防止

3-4.輸血
1)輸血概要
前処置により、患者の造血作用は破壊され、ドナーの骨髄による造血作用が機能するまでは、白血球以外の血液成分は、輸血に頼らなければならなくなる。
輸血成分としては、赤血球、血小板、新鮮凍結血漿などがある。
【赤血球】
白血球除去フィルターで処理後、GVHD予防のため放射線処理された赤血球を用いる。
患者のヘモグロビン値が8g/d㍑になるよう、補給をおこなう。

【血小板】
前処置後血小板は大幅に減少するため、頻回な補給が必要となる。
血小板数が2万~3万程度となるように補給を行う。
赤血球と同様、白血球除去フィルターで処理後、GVHD予防のため放射線処理たものを用いる。

2)血液型不適合間での移植時の輸血について
【血液型不適合種類】
いわゆるABO式血液型の不適合のことであり、不適合の型は、主不適合、副不適合、主/副不適合の3種類に区分される。
ドナー-患者(レシピエント)血液型の組み合わせ、合併症、対策などを、下表に要約する。

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【血液型不適合時の輸血】
ドナー-患者(レシピエント)血液型の組み合わせと移植直後~過渡期の輸血血液型の関係を下表に示す。

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